Serph / Hyperion Suites

ユートピアのその先の景色を描いた前作『el esperanka』から早二年。今や電子音楽界の寵児となったSerphが、似た者だらけのドリーミーなポップスが溢れる現状に一石を投じるべく、会心の新作を完成させました。

ユートピアめいたファンタジックな音像がトレードマークのSerphですが、今作ではそこにメランコリックでメロウな手触りも重なります。オリジナリティ溢れる美しいメロディとハーモニー、そしてマジカルなアレンジは洗練を極め、一種高潔なエレガントさを纏った楽曲が揃いました。60年～70年代のジャズに焦点をあて、HIP HOP的ビートやR&B的コード感で構築された楽曲は、若くして急逝したJ Dillaの偉大な冒険を引き継ぐ意志の現れでもあり、昨今のニュージャズ・シーンとの親和性も見てとれます。ボイスサンプルの多用も今作の特徴のひとつで、結果、今作はSerph史上もっともエモーショナルでソウルフルなアルバムに仕上がりました。

アルバムタイトルにある「Hyperion（ハイペリオン）」とは、所在が誰にも知らされていない謎めいたところにある世界で一番高い木の名前で、アルバム『Hyperion Suites』は、巨木ハイペリオンの清々しいまでの孤独さと悲しみを讃える讃歌であり、今や孤高の存在となったSerphが鳴らすおとぎの国のソウルミュージックです。


1. hymn
2. walkin
3. monsoon
4. happy turner
5. wireless
6. analogica
7. alcyone
8. sad roboto
9. soul for toys
10. hyperion
11. blood music
12. skyrim
13. nous
14. never end


フォーマット：CD
リリース日：2015年4月15日